福岡市内の南東エリアにのびる「みやけ通り」沿いにあるカフェ「かぼちゃ家」。
木彫りの大きな看板と「CURRY&CAKE&ROCK’N ROLL」と書かれたガラス張りの外観が目印だ。
ウッディで落ち着いた空間の店内にある棚にはお店の空気を創り出すレコード達が飾られている。そんな店内でひと際存在感を持って鎮座しているのは『JBL4367』。McIntoshのアンプ群と組み合わせて使っている。
「かぼちゃ家」はオーナーの藤原氏と奥様の二人で店を切り盛りしており、藤原氏はカレー担当、奥様はケーキ担当、お店のテーマは「カレーとケーキとロックンロール」だ。
「この店をひと言で表現するとアナーキー。ここに入れば誰でも平等です。」
そう語る藤原氏は、もともとは建築関係のお仕事をされており、10年前に一念発起し「かぼちゃ家」をオープンした。
「建築関係で働いていたこともあり、お店のカウンターやテーブルは自作しました。カウンターには一枚板を使っており、その端材を加工してレコード棚として使用しています。」
もちろんこだわっているのは内装だけではない。
この店の人気メニューは欧風カレーとスープカレー。柔らかくて味わい深い糸島ポークを150g使っている。チーズはチーズの女王とも呼ばれているグリエールチーズを使用。スパイスもインドのスパイスを約30種類、それぞれのメニューに応じ、組み合わせて使っている。
人気のケーキは「ロックンロール」と名付けられたロールケーキ。アーモンドとキャラメリゼでカリカリの食感。コーヒーの生地にほろ苦いキャラメルクリーム、ブランデーのシロップで大人っぽい感じの味わいで、午後には売り切れるという。
「ガツンとロックなレッドチキンカレー。通称『レッチリ』も人気です。」
やはりロック好きということで、そのメニュー名にもスパイスが効いている。そんなこだわりのカレーやケーキを『JBL4367』から流れるロックナンバーと共に楽しむことができる。
藤原氏と音楽の出会いは小学生の頃にまでさかのぼる。
「小学校低学年の時から兄の影響でブルーハーツを聞き始めました。ブルーハーツがいなかったら音楽を好きになってはいませんね。その後、ビートルズやストーンズなどの洋楽にはまりました。」
兄の影響を受けて音楽好きになった藤原氏。その大きな転機は22歳の時だという。
「引っ越した先の近所にレコード店があったんですよ。そこで初めてボブディランのレコードを買い、1万円くらいのプレーヤーで流しました。生っぽいリアルな感じでとても感動したことを覚えていますね。」
その当時、温かみや艶のあるレコードの音に魅了され、毎日レコード屋に通っていたという。そのため、現在所有のレコードは約1500枚。お店だけでなく、自宅にも多数のレコードを所有しているとのことだ。
そんな音楽好きの藤原氏だが、店を始めた当初はJBLのスピーカーを設置していたわけではなかった。
「その当時、仙台に旅行に行ったのですが、ふらっと入ったBarにJBLのスピーカーが置いてありました。どんなモデルのスピーカーだったかは忘れてしまいましたが、その音にすごく感動して、そこからオーディオに対しての門が開きましたね。最初からJBLのスピーカーにこだわったという事ではなく、理想の音を求めて辿り着いたのがJBLだったという感じです。」
その出来事がきっかけで、自身の店にもJBLのスピーカーを設置したいと思うようになったという。
「JBLにはどんなモデルのスピーカーがあるのか、どんな音がするのか気になって、JBLが置いてある大阪の『BAR JAZZ』と『MILK Bar』というお店にも行きました。そこで音を聴かせてもらい、JBLのスピーカーを購入することを決心しました。」
その後、オーディオ専門の業者と相談しながら、JBLのどのモデルのスピーカーにするか検討したという。そうして辿り着いた自分の求める音、理想とする音を鳴らすスピーカーが『JBL4367』だった。
「JBLのスピーカーの音はボーカルの声がリアルに表現されるんです。息遣いまで聞こえてくるというか、今まで聴いてきたスピーカーとは全然違いますね。」
『JBL4367』を導入した当初、ボーカルの息遣いまで聞こえてくるような高音質にとても感動したと語る。そして、もっと『JBL4367』の良音を引き出したいという思いから、自身の所有するスピーカーに最適なアンプやアナログプレイヤー、レコード針などに合うアンプを探し始めた。
「今はMcIntoshのアンプを使っています。スピーカーやアンプはもちろん、針やカートリッジでも音が全然変わるので、自分で色々試してみて『JBL4367』の音作りを楽しんでいます。」
「一度オーディオに対しての門が開いてしまうと、もう閉じることはできなくなってしまいました。『JBL4367』を使っての音の追求はとても楽しいですね。そして『JBL4367』を設置してから、オーディオ好きのお客様も多く店に来られるようになりました。自分の理想とする店に近づいているのを感じます。」
「通りからJBLのスピーカーを見てお店の中へ入ってくるお客様も多いですよ。お店から流れている音を聞いて入ってくるお客様もいます。オーディオ好きの方に気に入ってもらえるのはとても嬉しいですね。」
普段の営業時間中にはあまりアナログレコードをかけてないというが、お客様にいい音で、もっと音楽を楽しんでもらいたいとの思いから、月に1回のBar営業を始めた。その時間帯には自身のレコードコレクションの中からセレクトして流しており、『JBL4367』の良音を堪能できるとの事で、その音を求めて来るお客様も多いという。
「JBLの良い音を自分だけが楽しんでいたらもったいない。そんな気持ちから始めたBar営業ですが、それに合わせて生ビールを置くようになりました。最高の音質で音楽を聴きながら美味しいビールが飲めるとお客様に喜んで頂いています。」
普段のカフェ営業の際にはBGMとしてお客様にJBLの良い音質で音楽に触れていただくのはもちろん、Bar営業の際には是非オーディオ好きのお客さんにも集まって欲しいと藤原氏は語る。
「そのために常に新たなレコードを探しています。地方に行った時にはレコード屋を2、3件は回ります。他のオーディオにこだわってらっしゃるお店にもよく足を運びます。とにかく音楽が好きなんですね。実は自分たち夫婦の出会いも音楽なんです。もともとブルーハーツ好きがきっかけで知り合いました。」
そんな音楽を通じて出会った二人が創り上げたお店が「かぼちゃ家」だ。
良質な音楽とこだわりの料理。オーナー自らが造った家具が並ぶ温かな空間。音楽に対する熱い想いと『JBL4367』のスピーカーが、今日もこの場所で響き渡っている。