sound of jbl
JBLが聴ける店 vol.18
千歳烏山

ラグタイム

「4343B」とともに味わう、
素晴らしきサウンドと時の堆積。
ラグタイム
Date: July 27, 2018

常連と育て上げた雰囲気あるジャズバー。

京王線千歳烏山駅の南口にある「ラグタイム」。1978年にオープンしたこの店の椅子に座れば、柔らかな木を基調とした落ち着いた雰囲気の中で、スタンダードナンバーを中心としたジャズと、種類豊富なドリンク&フードが満喫できる。長年、常連客に親しまれてきたマスターの天川充治氏が他界したあとは、妻の純子氏と息子の新一氏が交代で切り盛りを担当。以前と変わらず、多くのファンが訪れるこの店を盛り立てている。

JBLが聴ける店・千歳烏山・ラグタイム01

オープン後、10年ほどして客として店を訪れ、マスターと結婚したという天川純子氏。15時から18時までの時間帯を担当する。

「昔からの常連さんが多い、地元に根差したお店ですね。京王線沿線に住むビジネスパーソンも、途中下車して立ち寄ってくれています。いろいろと種類が豊富なので、お酒を楽しむ方が多いのも、このお店の特徴かもしれませんね。ジャズを聴きながら会話を楽しんでもらえる店なので、初めての方も気楽に入っていただけると思います」

JBLが聴ける店・千歳烏山・ラグタイム02

ウッドを基調とした、落ち着いた雰囲気の店内。

ウイスキーやバーボンのほか、焼酎や泡盛なども人気が高いと語る純子氏。あたりめやこまい、砂肝唐揚げなど、ジャズバーらしからぬおつまみ系が充実しているところも、常連を呼ぶ魅力のひとつになっていると笑顔を見せる。
かける曲は、店名となっている「ラグタイム」にこだわらず、スタンダードナンバーを中心に幅広い。入口横にセッティングされた「4343B」は、曲のニュアンスをしっかりと伝えながら、おしゃべりのストレスにはならない、ほど良いボリュームでジャズを奏でる。「ラグタイム」は、昔も今も、変わらないサウンドで訪れる者を包み込んでいる。

JBLが聴ける店・千歳烏山・ラグタイム03

ビル・エバンス来日ライブのポスター。天井や壁に貼られたポスターや写真が、この店の歴史を物語る。

穏やかでソフトな
「4343B」のサウンド。

30年以上にわたって「ラグタイム」のサウンドを奏で、ファンの耳を楽しませてきたのは、1980年初頭に発売された4ウェイスピーカー「4343B」。純子氏が客としてこの店を訪れたときは、店の入口すぐ横にセッティングされていたという。以来、同じ場所で素晴らしいサウンドを奏でている。
「特別、サウンドのセッティングなどで苦労することはなかったようです。去年、ウーハーを貼り替えましたが、相変わらずいい音を鳴らしてくれています。常連のお客さまに微調整してもらいながら、長い間いい状態で使っているんですよ。この4343Bのサウンドは、とても穏やかでソフトなイメージがありますね」

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店舗の入口付近にセッティングされている「4343B」。

「4343B」のマイルドなサウンドは、この店でおもにかけるジャズはもちろん、ロックやフュージョンにも合うと語る純子氏。結婚以前は、キャロル・キングやピーター・ポール&マリーなどのフォークソングをよく聴いていたという純子氏だが、この「4343B」が奏でるサウンドでジャズに触れ、その魅力に惹かれるようになった。純子氏にとって、ジャズは「4343B」のサウンドそのものなのだ。
マスターが遺してくれた「4343B」は、これからも「ラグタイム」とともに時を重ね、そのサウンドで楽しませてくれることだろう。

JBLが聴ける店・千歳烏山・ラグタイム05

スピーカーには、自作の保護材が取り付けられている。

長時間聴いていてくつろげる。
それがジャズという音楽。

「このお店で働くようになるまで、本当にジャズを知らなかったんです。最初は、セロニアス・モンクやルイ・アームストロングなんかをよく聴いていました。お店でいろいろな曲をかけているうちに、ジャズの魅力がわかるようになっていったんです。最近では、コルトレーンやクリフォード・ブラウン、南アフリカのダラー・ブランド(アブドゥーラ・イブラヒム)などが好きですね」

JBLが聴ける店・千歳烏山・ラグタイム06

ぎっしと並べられたレコードの数々。ジャズをメインに、ロックやフュージョンなども揃える。

そしてジャズの魅力は、長時間聴いていても疲れずに、くつろげるところにあると純子氏は語る。
「コーヒーを飲みながら本を読んだり、お酒を飲みながらおしゃべりしたり。くつろぎながら、長く聴いていられるところが好きですね。こうしてジャズのサウンドに包まれて働いているので、疲れる音楽なら、仕事を長く続けることは難しいと思います(笑)」

「ラグタイム」にあるレコードは、3000~4000枚。ジャズを中心に、幅広く取り揃えている。レコードは、傷んでノイズが出たり、新しいものに買い替えることができる場合には新たに購入するが、新譜を入れることはないという。定番の曲の数々が、この店の「味」となっているのだ。
「ここは、お客さまとつくり上げている店。素敵な常連さんに恵まれて、本当に感謝しています」という純子氏。時間の堆積の中で、「ラグタイム」はさらに輝きを放つジャズバーになっていくことだろう。
「このお店ができたころから、お客さまも一緒に歳を重ねてくださっています。今、29歳の息子が夜の18時~深夜2時まで店に出ているので、もっと若い方にも来ていただいて、定着してくれたらいいですね。そしてまた、このお店と歳月を重ねてくれたら、こんなに嬉しいことはありません」

JBLが聴ける店・千歳烏山・ラグタイム07

若い人も、もっとジャズの魅力に触れて欲しいと語る純子氏。

SHOP DATA

ラグタイム

東京都世田谷区南烏山5-17-13
(千歳烏山駅 南口出てすぐ)
  • 月曜日
  • 15:00~翌2:00
  • 定休日
  • 正月、第2火曜日
  • 席数・特記事項
  • [テーブル]15席
    [カウンター]5席
    [お店のルール]リクエストはひとりレコード1枚